とれとれ市場の辻野社長にインタビュー!
前回からの続きです。圧倒的な安さの秘密に迫ります!
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辻野社長:そうそう。それと安さの秘密なんですけどね、
私は安く売るというのは店側の使命だと思うんです。
それは各スーパーさんやってらっしゃると思うんですが、
特にうちが安く売れる仕組みっていうのがあるんですね。
これは反面、お客さんに迷惑かける部分もあるんですけど。
まず閉店時間が19時なんです。9時半から19時。
その時間に来れないお客さんにとっては非常に不便な店なんです。
日曜祭日が休み。これも不便な店です。
その代わりに、開いている時間には安くていい商品を提供する。
よく市場が休んでるから店が休みって言いますけどその通りなんです。
うちの場合は売り切れ御免スタイルのお店なんです。
朝仕入れてその日のうちに完売するので、ロス率っていうのが凄く低いんです。
他のスーパーさんは長時間営業しているし365日年中無休でしょ。
商品を切らすっていうのがご法度なんです。だから余分に仕入れる。
その分は鮮度が落ちちゃって、最終的に廃棄する。これがロスなんです。
他のスーパーさんは原価があって売価がある。
そこが店の儲けになるわけなんです。ロスの部分も
売価に入れてるんです。
100円で仕入れたものを150円で売るわけです。
うちの場合は100円で仕入れたものを120円で売る。
30円の差は何かっていうと、ロス。ロスなんですよ。
あらかじめロスが出ないっていう設定でやってますから、低い売価で商売する。
それと市場との交渉ですかね。うちの場合はバーンと大量買いしますから。
市場に行くとね、農産物なんか量が多いものは相場がガンっと下がるんです。
安くてもいらない、売れ残る商品があるんです。
そういう時に市場の仲買さんから、新鮮市場さんこれ全部買ってくださいよと。
安くするからと大量契約する。
キャベツなんか10円の時もあるわけですよ。昨日は100円だったものが。
10円の時には・・・10円で売ったりするんですよ。儲けゼロです(笑
津田:10円の物を11円にしてもあまり意味がなかったりしますね。
辻野社長:それとか10円の時に8円で売ったりするんですよ。
赤字だったら成り立っていかないじゃないかって言われるんですけど店っていうのは商品たくさんありますよね。
だから平均で取れればいい。
うちの場合は売価が低くても良い、儲けが薄くても良いのでたくさん売る。採算が取れるんですよ。
圧倒的にそういう手法で商売しているから、新鮮市場さんは他所の店より2割3割安い。
もしくは半額位だね、と言われます。
津田:圧倒的、ですね。そしてロスを無くすって大切ですね。
私も小さいですけど会社を経営していますので感じたのが、
資金、仕入れのお金っていうのは会社のエネルギーですけど、
それがロスがないということは全部のエネルギーが有効にお客さんに届いているということですよね。
辻野社長:そうですね。まだまだ安く売る努力をしています。
チラシもうちはカラー刷のチラシ入れてません。
チラシ代って結構高いんですよ。
お客さんの案内には必要なんですけど、
無駄な経費をかけて高いチラシを入れて、
それも店側の経費になるので、売価に乗っかっちゃうんですよね。
それは排除しようと。安く売るために無駄な経費は下げようと。
そういう努力を全てにおいてしています。
小さな話ですがコピーの裏紙も使っていますし、
それこそ津田さんがされてる省エネもやってますよ。
そうでないとお客さんに安く売れないですから。
当然ながら店として、会社として必要なお金は要りますから、その分は最低限頂戴しなければならないですけど。
それ以外の物については要らないと思うんですよ。
それがやっぱり安く売れてる秘訣かなと。
それを続けなきゃいけないなと思っています。
津田:大事なものをしっかり確認して、そこに特化、集中されてるんですね。
辻野社長:お客さんにとって何が得か、良いのかっていうのを考えている。
チラシなんて極端な話無くても良いんじゃないかと思ってます。
毎日安けりゃお客さんは来られるわけですし。
チラシっていうのは紙くずになっちゃうし、ゴミにもなっちゃう。
本当は私はチラシゼロを実現したいなと思ったんですけどね。
でもだいぶ減りましたね。昔は月に6回打ってました。
今2回くらいですよ。3分の1にしました。
それでも毎日のお客さんの数は変わらないし。
結果それが良かったと思うんです。
お客さんが求めているのはチラシじゃなくて商品の安さだと思うんです。
チラシ代を安さに替えてあげたんです。
お客さんが喜ばれる方へ変えたんです。
そこをずっと徹底していますね。
津田:このビジョンと経営理念はいつもお持ちになってるんですか?
辻野社長:私は頭に入ってますから(笑
津田:大変失礼致しました(笑
辻野社長:これは毎日朝礼でみんなで唱和しているんです。
これをずうっとみんなが頭に入れておけば、おのずと日々の行動に繋がってきますから。
でないとついつい忘れちゃうんですよね。
特に訴えたいのはあり続けること。
続けていくことの難しさを感じていますからね。
津田さんもご存じのように地方のスーパーさんはどんどん縮小しているでしょう?
どんどん大手に変わってるじゃないですか。
その環境の中にあってね、将来的に続けていくっていうのが非常に難しくなってくるので。
続けていくには店としては努力が必要であって、大事な理念というのは崩しちゃならない部分だと思うんですね。
まだまだ地方のスーパーもやり方によっては繁盛していけると思うんですよ。
お客さん全員が大手スーパーさんばっかり求めるわけじゃないと思うんです。
地方は地方のスーパーの良さがあると思うし、
新鮮市場は新鮮市場なりの良さがあると思うんです。
それを続けていきたいなと思ってます。
津田:しっかり向き合うこと、ですよね。
支持してくださっているお客さんにとっては、
その店舗があり続けることが一番大事ですよね。
辻野社長:そうですね。私もスーパー業、実際社長をやって20年も経ってないんですよね。
だからまあ苦労もありましたし、なかなか自分の思うやり方がお客さんに通用しないという苦渋の時期もありましたから。
でもずうっとこう考えてみたら答えはお客さんにしかなかったんです。
綺麗なスーパー見に行ったりして真似たところでそれは真似だけであって敵わないんですね。
独自のものを産み出さないとお客さんに支持されないということが痛いほど解りましたから。
そこのところは常に大事にしています。
津田:転機になった出来事はありますか?
辻野社長:ありましたよ。
私は大阪でサラリーマン13年やっていました。
父親が宮野の新橋で津田さんもご存じの辻野ストアーってお店をしていまして私もその家で育ちました。
商売屋の長男だったので山口には帰ってくるっていうのは頭にあったんですよ。
今から19年前、平成8年に家族を連れて帰ってきて、父親が社長で、私が店長でまさにここの場所です。
今の会社のとれとれ市場という屋号でスーパー始めたんです。
ところが辻野ストアーから箱が大きくなっただけで、中身は変わらないんですよ。
どういうことかっていうと、個人商店でもないし、スーパーでもないしお客様に支持される部分に限界があったっていうか。
本当に売れなかったですね。
しょっちゅう父親と喧嘩していましたね。
こんなもの仕入れてくるから売れんとか。
鮮度の良い安いの仕入れてくれとか。
お前は商売のこと分からないから黙っとれって感じでしょう。
平成9年にオープンしたんですけどね。
2年間とれとれ市場の屋号で商売していて、毎月赤字が累積していくんですよ。
この店も借金で建ってましたからね。こりゃ会社潰れるぞってね。
ある日私が九州の熊本に繁盛店が有るっていうことで、新鮮市場っていう店を見に行ってね。
店は小さいけど朝から行列できるし大繁盛の店なんですよ。
目からうろこって言うんですかね。
これだ!って思って喜び勇んで山口帰ってきて父親を説得したけど、うんって言いませんでしたね。
そう言わずに一緒に見学に行こうと、もう一回行って、その時に母親もついて来て見に行ったんですよ。
母親はやっぱり、ああ良い店だねと支持してくれたんですけど父親は相変わらずそっぽ向いちゃってて。
自分は創業者でやってきたという自負があるわけですよ。
でも息子は何も知らんし、どうせ騙されてやるんだろうって心配事もあったと思うんです。
それを押し切って2年後に新鮮市場って屋号も付け替えて全面改装したんです。
その時には負債もあったし、新鮮市場するには全部内装も変えないといけなかったし、冷蔵庫も全部捨てちゃって新しいの入れて。
ダブルの投資ですよ(笑。
これ駄目だったら会社無くなってたんですけどね。そこからですね。
でもなかなかね、新鮮市場にしたけど、その頃も新鮮市場というスタイルの店が山口県に無かったですからお客さん知らないんですよ。
日曜日が休み?生意気な店だってね。
安く売ってるけど大丈夫なの?とかいろんな事言われましたよ。
軌道に乗り始めたのはそれから5年後くらいです。
平成16年くらいかな。やっと損益トントンくらいになって、それで今度は湯田店です。
平成17年にね。私は宮野店やっててね、
もっと駐車場があればいいのにとか、
もう少し店舗が大きかったら良いのにとか理想像があったんですよ。
それを2号店で私はやりたかった。
お金がなかったけど金融機関に了解してもらって出店出来たんですよ。
それが大きな転機ですね。
やっぱり予想通りで、最初こそ悪かったですけど1年経たないうちに売上ダントツで上がってきて、
やっぱり新鮮市場間違ってなかったと。
産みの苦しみはありましたね。本当に。つい最近の事ですよ。
津田:でもそれもお客さんの支持ですよね。
辻野社長:そうですね。
津田:5年間という期間で徐々に赤字から黒字になられたと思うんですが。
辻野社長:修羅場は有りましたよ。本当に生々しい話だけど、
津田さんも経営者だから分かると思うけどね、資金繰りですよ。
それこそ社員の給料が払えないと大変なことになりますから。
それ以上に仕入れの資金が(笑。月末になると本当に胃が痛かった。
それが5年くらい続きましたね。
そういうピンチも知っていますし、
そこには戻りたくないというのが怖い様に有りますから。
自分達のお金全部吐き出しちゃって、それこそ生命保険までですね。
一銭もなくなってゼロになった時に腹括っちゃった。
なんとかなる!
そういうことも有りました。なんとかなるなって思いました。
ピンチなんて。商売に向き合っていればいいと思うんですよ。
津田:とことん向き合うがやっぱりキーワードになりますね。
辻野社長:いろんなことありますよ。
大きい会社の社長さんでも順調に来たわけじゃないと思うんでね。
ピンチの時もあったと思うし。
それを乗り越えて来られたんじゃないですかね。
最初からドーンと行く会社なんてないですよ。
津田:そうですよね。なんだか元気になりました(笑。
次は私たちの仕事でもあるのでお聞きしたいのですが、
今取り組まれている省エネや節電はありますか?
辻野社長:一応全部やっているつもりなんですよ。
ここもですが蛍光灯を全店舗LEDに交換しました。
冷蔵庫も省エネタイプにして、デマンドコントロールもしています。
それで電気代が1割下がりました。
年間で4000万位電気代払ってたんですよ。1割大きいでしょう?
津田:大きいです!! 本当に大きいですね。
辻野社長:経費削減出来ましたね。それでお客さんに安くも出来ますしね。
津田:継続的にが大きいですね。
辻野社長:そうですね。
津田:ご家庭と一緒にしたら失礼かもしれないんですけど、
毎月の固定経費が下がると皆さん金額以上に精神的なものが凄く大きいと言われるんですが、
辻野社長もありますか?
もちろん浮いた分をよりお安く、お客さんの満足度に使えるっていう部分が大きいと思うんですが。
辻野社長:それはやっぱり精神的な部分は大きいですよ。
毎月要る経費が安くなるんですからそれほど嬉しいことはないですよ。
たくさん経費有りますけど、経費の中で削ってはいけないのが人件費なんですよ。
これは毎年上げていかないといけない。
それ以外の経費は下げないと。
経費の中で電気代が大きい割合を占めているでしょう?通信は知れているし。
一般家庭でもそうじゃないですかね。ガス代もしかり、光熱費っていうのはそうですよね。
その負担が減っていくというっていうのは嬉しいことですよね。
津田さんがやってらっしゃる仕事は生活に繋がるわけですから喜ばれる仕事じゃないですかね。
我々も食材は毎日じゃないですか。
お客さんの食卓を充実させたいという使命感があって、
少しでもお役にたてればという思いはあります。
人様に役立つ仕事でないと私はダメだと思いますよ。
スーパーもたくさん有ってお客さんに役立たない店は無くなっちゃいますよね。
役立つためにはどうしたら良いか、考えたらおのずと答えが出てくる。
太陽光とか省エネも今から必要だと思いますよ。
原発問題もあるしね。
我々と同じく一番生活に密着している部分じゃないですかね。
津田:ありがとうございます。しっかり向き合っていきます!
今回はお忙しい中、本当にありがとうございます。
そんななか、なぜお引き受けいただけたのでしょうか?
辻野社長:津田さんが真面目にやってらっしゃるしね。
それと西京銀行の支店長からもね、この間ちらっと津田さんの話が出てね、
凄く真面目にやってるって仰ってましたからね。
若いのに真面目にやっていると。見習わないといけないなと思って。
津田:ありがとうございます!!! 恐縮です(笑
それではこれからの会社と社長の夢と目標を教えてください。
辻野社長:今4つ店があるんですね。
私は山口市内は4つで充分だと思うんですよ。
強いて出すとしたら小郡があるんですけど、
エリア的には充分カバー出来ているのでこの4つのお店を充実させて、
要するに地域で一番にしたいんです。
まだまだ不足してますから底上げをしていって、
本当に新鮮市場が有って良かった言える位に育てて行きたいです。
それと私には跡継ぎの息子がいるんですが今熊本のスーパーに2年の修行に行ってます。
今年の夏に帰ってくるのでしっかりバトンタッチして、
今55歳ですが早ければ60歳位には渡したいなと思っているのであと5年やって、
私は退いて好きな旅行をしたいなと(笑。
美味しい物を食べたいなと(笑。
津田:今まで随分走ってこられたので(笑
事業継承ですね。
辻野社長:なかなか商売していると休めないんですよ。
今でこそ日曜日は店が閉まっているから一息とれるんですけどね。
でも経営している以上は休まらないですね。
それこそもう信用して預ける。そしてフリーになりたいなと。
当然、預けたとしても会社には残りますけど大事な部分は預けるので、
さっき言いましたように60でバトンタッチ出来ればいいなと思って。
10年くらいは自由に時間が使えればなと思います。
そうじゃないとね、人生設計もあるしね。
いろんな人に言われるんですよ。出店しませんかとかね。
それよりも今が大事かなと。まだまだ私より先輩の経営者がね、行くぞ行くぞと方もいらっしゃるけどね。
今のお客さんを大事にしながら足元を固めていきたいですね。。
津田:やはり山口市外への出店の構想はないのですか?
辻野社長:市外は目が届かないし、それこそ人が一番なのに人がまだ育ちきってないし、
今はまだ直ぐ出られる状態じゃないですね。
ただこれから息子の代になれば分からないけどね。
息子が決めることなので。
ただ今のクオリティ、パフォーマンスを保てなければ出店しても失敗すると思うので。
出店する限りはその地域の方に喜んでもらえる店でないと繁盛しないと思うので。
それには相当努力がいるんですよね。
ひな形が決まって金太郎飴のように出せるような店舗じゃないですから。
それがうちの多店舗展開の難しさがあるんです。
本当に喜んでいただけるのであれば、出店すべきところに出店します。
中市商店街のお店もそうでした。
津田:お願いされたとお聞きしてます(笑
辻野社長:あそこも赤字出るのは目に見えてたからね。
ただあの辺はお店がなかったし、うちが手を挙げなければ出るところがなかったですからね。
まあそれは地元ですからね。
津田:必要とされて、ですね。
辻野社長:そうですね。やっぱり必要とされるっていう部分が大事かなと。
津田:凄いです!
では最後に、エナジー通信読者へ一言お願いします。
辻野社長:新鮮市場というお店がありますから、みなさんぜひ来てください。
今からも頑張っていきます!と。
津田:今日は本当にありがとうございました。
辻野社長:ありがとうございました。
新鮮市場宮野店 株式会社とれとれ市場オフィスにて。
辻野社長
本当にありがとうございました。
いただいた言葉を大切に、お客様としっかり向き合っていきます。
株式会社エボリューシュン 津田龍春
今回も最後まで読んでいただいてありがとうございました。
エボリューシュンのお客様へ2ヵ月毎にお送りしているニュースレターエナジー通信でも掲載しましたのでこちらもぜひご覧ください。
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